「エレガントな技法」と「泥臭い努力」。

敬愛なる皆さま
お立ち寄りいただきありがとうございます。
今回の配信では、
息子が通っていた塾の数学の先生の言葉をきっかけに、
「エレガントな解法」と「泥臭い努力」について
お話させていただきました。
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「エレガントな技法」と「泥臭い努力」
お耳寄りいただけたら嬉しいです。
数学の先生のお言葉から
先生はこうおっしゃいました。
「エレガントで洗練された技法や裏技は確かに難問には有益。
しかしその根本にある考え方や、なぜその方法が生まれたのかという
「起源」を忘れてしまう危険もある。泥臭く愚直に問題と格闘する経験こそが、
本質的な理解や感動には不可欠なんだ。」
このお言葉が、
私の中で20年前の体験と現在の仕事を結ぶ糸となりました。
20年前、西麻布の創業間もない会社で
突然マーケティング部の責任者になった時のことです。
教職出身の私が、有名インポートブランド出身の上司の後任として
海外の個人工房から届く食器を老舗百貨店で販売する—
今思えば、本当に漫画のような怒涛の展開でした。
アートの世界では「一点一点違ってこそ美」ですが、
百貨店では「全品が百貨店基準をクリアしている」ことが大前提。
入念なコレポンだけでは不安がぬぐえず
催事前は深夜まで自社倉庫にこもり、
ひとつひとつ商品を手に取って確認する日々が続きました。
数字がとにかく苦手だった私は、
最初は長い品番を見るだけでクラクラしていました。
それが
商品に触れ続けるうちに、
だんだんと基準が身体に宿ってくるのを感じたのです。
気がつけば、
複雑な品番の僅かなミスも一目で分かるようになっていました。
思わぬ展開と学び
お仕えした女性社長の先見の明と情熱の賜物ですよね。
この催事をきっかけにウェディング業界の重鎮の方の目に留まり、
一気に販路が開けていったのです。
この体験は、その後の私の人生に深く根づいています。
育児中も、鑑定士になってからも
「効率重視」や「近道」を求めることはありませんでした。
本当に行き詰まった時に立ち返ることができるのは、
自分自身の経験でしかない、と
深く学ばせていただいたからです。
鑑定においても、お客様のお悩みの多くは表層的なものです。
お仕事のお悩みの奥に恋愛の深い傷があったり、
恋愛相談だと思っていたら、
実は家族関係のトラウマが根っこにあったり。
そうした深層に渦巻く真のテーマを
「お客様の言葉に触れた瞬間に一瞬で紐解く」
——これがプロの仕事だと私は考えています。
共通する本質
数学も、商品管理も、鑑定も、
本質は同じです。
表面に現れているものの奥にある「真実」を見抜くこと。
どれも、一つ一つ丁寧に触れて、感じて、確かめる
——その圧倒的な積み重ねでしか開かない
「心眼」があるのです。
エレガントさの正体
世の中にはエレガントなビジネスモデルや
洗練されたやり方が溢れています。
そうしたスマートな美しさに憧れる気持ちは、
私にもあります。
けれど、その美しさの正体は
実は泥臭い時間をぎゅっと凝縮した結果なのです。
深夜の倉庫で数え直した手。
成田の倉庫の冷たい空気。
ひとつひとつ手で触れて判断した感覚—
そうした体験が、
今の私の「触れる力」の源泉になっています。
あなたの「地道に積み重ねてきたもの」
私の場合は、
たまたま商品管理の現場やひとつひとつのセッションでしたが、
きっと皆さんにもそれぞれの
「地道に積み重ねてきたもの」があるはずです。
そのご経験こそが、
唯一無二の直感と「眼」を育ててくれる宝であり、
皆さまの源なのです。
泥臭い時間の価値を
けっして見失わないこと—
あらためて、自戒の念として、書き添えさせてください。
Stand.fmでの配信もぜひお聞きください。
音声ならではの温度感で、この体験談をお話ししています。
a.Michell